3/3 鐘ヶ淵をテーマにライブペインティング!

3月3日の桃の節句。季節の変わり目に、邪気を払い、女性の健やかな成長をお祝いする日。
 
そんな日に、作務衣(さむえ)姿で紙を担ぎ、ウキウキと蔵前の街を歩く男が一人。
 
男が向かう先は、蔵前駅から程近いガレージ風のカフェ「蔵前4273」。
 
暖かいプロデューサーさんと、ぱっきりした笑顔のキャサリンさんが迎えるこの空間で、約30分、ライブパフォーマンスをさせていただきました。
 
 
お題は、東京都墨田区の鐘ヶ淵(かねがふち)。
同じ墨田区住人として、地域への理解を深めるよい機会だと挑みました。
 
また、こちらの作品は、3月11日(土)に開催される「鐘ヶ淵 時代の人コンテスト&絵巻パレード」の会場にも出品します。
 

【作品解説】

鐘ヶ淵には、人情味溢れる空間、そして街道がありますが、その特異的な地形にも目を向けました。

 

曲ヶ淵(かねがふち)、指矩(さしがね)などの語源があるとされる、大きく曲がりくねった隅田川と、真っ直ぐ流れる荒川に挟まれた土地。この形を「淵」の漢字に当てて、制作を進めました。

 

鐘ヶ淵には、梅若(うめわか)伝説の木母寺や、隅田川七福神めぐりの多門寺など、多くの由緒ある寺社の存在があり、そして心安らぐ酒場が多いことから…今も昔も、新進気鋭の人から訳アリの人までみんなひっくるめて、この地に「魂の安息」を求めて集まっているのだろうと想像しました。

 

無数の丸い魂が流れ込んで「淵」のサンズイを担い、安息の象徴の観音様がこの地を見守り、その頭上には梅若伝説の母と子の象形文字が散りばめられています。みなさんはこれを眺めて、どんなストーリーが浮かぶでしょうか。

 

また、ライブペインティングだからこその妙といいますか、私の意図しないところで、「どっしりした構えで刀を振り上げる剣士」が荒川の上流に浮かび上がりました。
これはまるで、鐘ヶ淵に居を構えていたという、池波正太郎「剣客商売」で有名な秋山小兵衛の姿かも知れません。
捨てておけない想いを断ち切り、魂の居所に蹴りを付ける存在が、ここにも現れました。
 


同じ墨田区の住人として、地域の特異性を知りたい、アートに昇華させることを切っ掛けに多くの人と交流したい、その想いで作品創りに挑ませていただきました。観て、立ち止まって、心を耕す時間が産まれれば、これ幸いです。